Inleiding tot de R-statistiek

統計学全般に関する備忘メモの書庫(三中信宏)

「分散分析についての質問いくつか」

前々回(12月6日)の講義で,実験計画にともなう分散分析についての質問がいくつか出ました:

  1. 処理効果とブロック効果との交互作用効果は考慮しないのでしょうか? ブロック効果が有意になるほど大きければ「説明不能な……」がありそうな気がします.
  2. 完全無作為化法の処理偏差と乱塊法の処理偏差とは,ブロックの設定が正しければ必ず一致するのでしょうか?
  3. 要因の数が増えたときには交互作用効果の項はどうなるのでしょうか?

答えやすい質問から:第3の質問については,要因数がnのとき,交互作用の項は全部で nC2nC3+……+nCn あるという答えです.たとえば n=3 のときの交互作用は AB, BC, CA, ABC の4つ,n=4 のときは AB, AC, AD, BC, BD, CD, ABC, ABD, ACD, BCD, ABCD の計11個の交互作用項が生じます.

第2の質問については「イエス」です.処理偏差は処理平均と総平均との差ですので,完全無作為化法でも乱塊法でも計算にちがいはありません.

やっかいなのは第1の質問です.私の講義ではブロック効果と処理効果との間に交互作用を仮定しない線形モデルを立てました.それは,ブロックは他の実験要因とは異なり,各水準が反復されているわけではないからです.たとえば「ブロック要因」の「ブロック1」という“水準”はただ一度しか実施されず,反復されることは決してありません.この点で,ブロックと他の要因との間には根本的なちがいがあると考えられます.したがって,乱塊法ではブロック-要因間の交互作用は考えないのが普通です.