Inleiding tot de R-statistiek

統計学全般に関する備忘メモの書庫(三中信宏)

「なぜ〈R〉か?」

今回の講義では,スライドによるプレゼンとともに,フリーウェアの統計言語〈R〉とそのGUIを与える〈Rコマンダー〉を用いた計算デモンストレーションを併用して,できるだけ「計算してみる統計学」を実践したいと思います.受講生のみなさんも,もし自分のパソコンに〈R〉と〈Rコマンダー〉をダウンロードすれば,すぐに講義で示した計算を自分で試してみることができるでしょう.

初回の講義への質問として,何人かの受講生から「なぜ〈R〉を使うのか?」という質問が寄せられました.もっとも大きな理由は,「フリーウェアであってしかも高機能な統計解析がいつでもできる」という点に尽きます.初回の講義でもデモしましたが,〈R〉を使えば,データを即座に何通りものグラフとして視覚化することが容易です.すぐ使える利便性という点で,他の(有料の)統計ソフトウェアと互角に戦えるだけの能力を〈R〉はもっています.

さらに別の質問として「すでにエクセルを使っているのだから乗り換えたくない」という意見もありました.データを集計するツールとしてのエクセルは確かに役に立ちます.おそらく多くの受講生は,今後エクセルを用いて自分のデータの管理をするでしょう.

しかし,データ集計機能が売り物のソフトウェアが統計分析でも同様に役に立つという保証はありません.エクセルの統計計算機能には根本的な問題が未解決のまま放置されていることは,たとえば群馬大学の青木さんのサイト:

Excel は,ひどい(酷い・非道い)という話」(群馬大学青木繁伸さん)

http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/Hanasi/excel/index.html

に列挙されています.少なくともこのような問題点を抱えているソフトウェアを,本来の使い道であるデータ集計を越えて,統計分析に使う意味はありません.

さらにいえば,エクセルで集計されたデータを〈R〉にインポートすることは容易です.そんなわけで,エクセルユーザーも〈R〉で統計計算をすることを強くお勧めします.

このように,私は〈R〉を統計計算のツールとして講義の中で使っていきますが,世の中にはたくさんの統計処理ソフトウェアがあります.さまざまな選択肢を試してみる可能性は統計ユーザーに開かれています.